スマートフォンやSNSの普及により、動画を視聴する文化はすっかり身近なものとなりました。
中でもTikTokやYouTubeショート、リールといった短尺動画はここ数年で一気に広まり、今や日常の中に溶け込んでいます。
こうした“短い動画を次々と見る”スタイルが定着している現代において、一部の報道では「若者はショート動画ばかりで、映画やドラマといった長尺コンテンツには苦手意識があるのではないか」といった指摘もあります。
しかし、実際の高校生たちの感覚は本当にそうなのでしょうか。
今回は、令和の現役高校生の「動画視聴時間の実態」について調査しました。
報道はミスリード!?実に8割の高校生が映画は余裕で観れると回答!

今回のワカモノリサーチでは、全国の現役高校生(男女)に
あなたは映画(2時間〜3時間)を見続けることができますか?
というアンケートを実施したところ、80.9%が「できる」と回答しました。
できると回答した意見を見てみると、
- 「自分が見たい映画なら見れます」
- 「面白かったらあっという間だから」
- 「映画に没頭できるから」
といった回答が多く挙がり、あくまで好きであれば時間は関係ないといった声が大半を占め、ショートはショート、映画は映画と棲み分けている様子がうかがえます。
また映画ならではの回答として、
- 「作画や音響、ストーリー性や声優の方々の熱演によって、3時間があっという間に過ぎたように感じるからです」
- 「物語があるものを見ることが大好きなので、興味がある映画ならいくらでも観れる」
- 「映画は起承転結ある」
といった具体的な回答も得られました。
長尺だからこそストーリー性を丁寧に描ける点や、音響など映画館ならではの醍醐味を挙げる声もあり、好きであることと飽きさせない展開が噛み合えば、時間の長さはあまり関係ないと感じている様子がうかがえました。
また、ショート動画との比較を答えてくれた若者からは、
- 「ショート動画にはない魅力がある」
- 「ショート動画よりも内容が深いから」
- 「ショート動画では伝わりきらない情報の細部までを見ることができるため」
といった回答を得ることができました。
ショート動画はいかに数秒でインパクトを与えるかが前提であり、内容よりも優先される要素が多い傾向にあります。
一方で映画は自分から観に行く、ショート動画は自分の目に入るといった違いもあり、視聴の入口そのものが異なる点も特徴といえそうです。
一方で「できない」と回答した、19.1%の若者たちの声をみていくと、
- 「じっとしてられない」
- 「集中力が切れるから」
- 「スマホとか触りたくなるか、倍速にしたくなる」
といった回答が寄せられました。
作品の内容というよりも“集中力そのもの”を理由に挙げる声が多く、映画を見続けられない要因となっているようです。
倍速視聴の習慣やスマートフォンへの依存といった現代的な視聴スタイルも影響しているといえそうです。
またその他の理由をまとめると、
- 「飽きるし、目が疲れるから」
- 「2.3時間はさすがにしんどい」
- 「長時間は身体的にきつい」
といった意見が目立ちました。
ショート動画に慣れている若者たちにとっては、長時間同じ姿勢で映像を見続けることを「体に害を及ぼすレベルの修行」と捉えている声も挙がりました。
「同じ画面をずっと見るのは無理」という感覚を持つ高校生もおり、現代の若者らしい声といえそうです。
また違う視点の回答もあり、
- 「勉強したいから」
- 「こんなに見ていいのかなと不安になるから」
という声も。
映画を観る時間に充てること自体に、どこか罪悪感を覚えてしまうという意見もわずかながらありました。
「ゆっくり映画を観る=リラックス」というよりも、「時間を使いすぎているのではないか」と感じてしまうあたりに、忙しい日常の中で過ごす高校生たちのリアルがにじむ結果となりました。
テレビドラマvsショートドラマは圧倒的にテレビ派に軍配!

続いて、全国の現役高校生(男女)に
あなたはテレビドラマ(1時間)を見続けることができますか?
というアンケートを実施したところ、76.8%が「できる」と回答しました。
できる派の意見を見ていくと、
- 「面白いから」
- 「面白かったらついつい見ちゃうから」
- 「ちゃんと面白いドラマなら見入ることができるから」
といった、シンプルながらも説得力のある「面白い」という言葉が大半を占めました。
ショートドラマとの比較というよりも、単純に“テレビドラマは面白い”という回答が集中しました。
昔からドラマが話題の中心になってきた背景もあり、その“面白さ”が今も変わらず支持されていることがうかがえます。
その他の意見として、
- 「面白いのに加え、友達と共有できることが増えるから」
- 「推しが出ていたら見れる」
- 「テレビドラマにはテレビドラマの良さがあるから」
といった声が挙がりました。
映画と同様に“興味があるものにはしっかり時間を使う”という傾向は当然の結果で、「昨日のドラマ見た?」といったクラスでの話題や、親と一緒に観るといった幼少期からの習慣もあり、テレビドラマは生活の中に自然と溶け込んでいる身近なコンテンツであるといえそうです。
また別の意見では、
- 「ショート動画とは違う」
- 「ドラマは別格です」
- 「やっぱ重みが違うっすよね」
といった回答が集まりました。
短時間で完結するコンテンツでは味わえない感動や興奮、次の展開が待ちきれないといった魅力がテレビドラマにはあり、ショートドラマよりも“格上である”として捉えている声が目立ちました。
一方で「できない」と回答した、23.2%の若者たちの声をみていくと、
- 「興味がない」
- 「見たいドラマがない」
- 「興味無いしつまんないから飽きる」
といった回答が多く、多感な時期である高校生にとっては、限られた時間の中で優先したいことも多く、そもそも“ドラマを見る”という選択肢が日常の中に入っていないケースもあるようです。
扱われるテーマやストーリーが自分の関心と合わない場合、そのまま視聴習慣につながらない傾向もうかがえます。
また、集中できないという理由の回答も多く、
- 「スマホを触ってしまう」
- 「ながら見になる」
- 「面白くても間にCMが挟まったら集中が切れてしまうから」
といった声も集まりました。
他のことに気を取られている間に話が進んでしまったり、テレビはCMを飛ばせないのもあって集中が続きにくいようです。
その点ショート動画はスマホでサクッと見られ「自分で見つけた感」もあるためテレビより見やすいと感じているのかもしれません。
さらに、時間に対して印象的だった意見は、
- 「1時間のテレビドラマはきついかも。1話単位だったら見れるかも」
- 「倍速ならいけるタイパ悪い」
- 「そもそもテレビドラマをじっとして見る習慣がないから」
といった回答がありました、倍速視聴やスキップが当たり前の環境に慣れている今、CM中や来週までの展開をワクワクしながら“待つ時間”や、じっくり時間をかけて視聴するスタイルに対してハードルを感じる若者もいるようです。
ショート動画は何分見続けられる?高校生の視聴スタミナを調査!

最後に、全国の現役高校生(男女)に
どのくらいの時間ショート動画を見続けられますか?
というアンケートを選択式で実施したところ、最も多かった回答は全体の35.8%で「5分以内」という結果になりました。
その理由をみていくと、
- 「暇な時にスクロールしてるとこのくらい時間が経っている」
- 「スクロールして沢山見れるから」
- 「サクサク見れるから」
などの意見が集まりました。
無意識に見てしまう習慣に加え、自分のタイミングですぐ次に飛ばせるのが魅力であり、気がつけば時間が経っている。
ショート動画の視聴はまさに究極の暇つぶしといえそうです。
またその他の意見として、
- 「絶えず自分に合ったコンテンツが流れてくるから」
- 「中毒性が高いため、どれだけでも観れる」
- 「結構好きで、あれもこれもみてしまう」
といった回答も。
スマートフォンはアルゴリズムによって、視聴履歴や再生時間、スキップの有無といった行動データをもとに、一人ひとりに最適化されたコンテンツが自動的に表示されるようになっています。
その仕組みとショート動画の相性は抜群で、中毒的に見続けてしまう状態を生んでいるようです。
ショートの強者の高校生からは、
- 「無限にいける」
- 「5分以上行けます」
- 「長くても苦ではない」
- 「本来ならいくらでも見られる」
といった声が集まりました。
今回のアンケートでは「5分以内」が最長の選択肢だったこともあり、それ以上見続けられる若者たちは泣く泣く5分以内と回答したようです。
“ショートをロングで見続ける強者”は思っている以上に多いのかもしれません。
続いて多かったのは、「1分以内」で全体の26.8%。
- 「ショートは1分以内」
- 「1分以上あると長くて飽きてくるから」
- 「1分であきる」
といった声が多く寄せられました。
この背景には、最初に表示される再生時間を見て「長っ!」と感じる感覚があり、最初に「ショートじゃない!」と思わせた時点で勝負が決まってしまうようです。
「ショートは1分以内」という言葉はもはや名言レベルで、共通認識になっているようです。
また、
- 「長すぎると横動画でいいじゃんとなる」
- 「長いのはすぐにスクロールしちゃう」
- 「サクサク見たいから」
といった意見もありました。
ショート動画の醍醐味であり大前提である縦動画というフォーマットから少しでも外れるとすぐにスキップされる傾向があり、見るか見ないかの選択権は完全に視聴者側にある点も大きなポイントといえます。
さらに別の意見として、
- 「それ以上だと倍速にしちゃう」
- 「2倍速にするから」
といった、自分ルールを持つ声もありました。
長いと感じた瞬間にスキップするか、速度をあげるという判断は、もはや当たり前の感覚となっています。
もともとテンポの良い動画ですら、さらに倍速で見て内容を理解していくあたりに、現代の若者ならではの視聴スタイルが表れています。
次に多かった秒数は「30秒以内」で全体の9.4%でした。
もはや短距離アスリートレベルの回答をみていくと、
- 「長すぎるのは退屈」
- 「30秒より長いと飽きる」
- 「長いものはあんま面白くない」
といった声が集まりました。
そもそもじっくり見るという感覚ではなく、数秒でひと笑いできるテンポを求めている以上、長すぎるストロークは御法度のようです。
短い中でいかにインパクトがあるかどうか、そこがかなり重要になっているみたいです。
また、「すぐ飛ばしたくなるから」といった回答もあり、最初から“飛ばす前提”で動画を見ている感覚もうかがえます。
動画を楽しむために見るのはもちろん、その中でどのタイミングで飛ばすかも含めて、視聴そのものがひとつの“遊び方”になっているようです。
他に違う回答としては、
- 「いい塩梅だから」
- 「短い方がいいかなって思う」
という声がありました。
移動中やちょっとした空き時間にスマートフォンを開いて動画を見るという、自分の生活リズムに合った視聴スタイルが主流だからこそ、短い時間のコンテンツがちょうどよくハマっているのかもしれません。
今回の選択肢で最も短い時間である「3秒以内」が全体の2.3%でした。
少数派の強者高校生からは、
- 「最初の2秒で判断するから」
- 「ものによっては全部見れるけどあんまり楽しくないから」
- 「3秒見ればつまらないものはわかる」
といった内容の声が寄せられたそうです。
たった2秒で面白いか面白くないか、自分が楽しめるかそうでないかを判断できるのはもはや職人レベル。
この厳しい“第一関門”を突破した動画に真の“いいね”がつくのでしょうか。
同じく短い時間の「10秒以内」と回答した高校生は1.6%でした。
その声をみていくと、
- 「そんなに長くは見れないと思ったから」
- 「飽きるから」
- 「ショートなのに3分とか長い」
といった意見が見られました。
「少しは見るけど、退屈と感じたら離脱する」といった感覚はどの秒数にも共通しているものの、10秒ジャッジ勢は3秒職人に比べてわずかな“猶予”があります。
つまらないから離れるというよりも、「もっと面白いものが次にある」という期待でスクロールしている側面もあるのかもしれません。
そして、最も回答が少なかった秒数は「5秒以内」で1.3%でした。
- 「興味のないジャンルならすぐ飛ばしてしまう」
- 「面白くなかったら飛ばす」
- 「はやくあたらしいどうがをみたいから」
- 「数をこなしているから」
といった回答があったようで、“見るかどうか”を決めるのはたった一瞬で、質より量を求める価値観のなかで、合うものは合う、合わないものは合わない、そんなシンプルかつ残酷な判断が数秒で下されているようです。
今回の調査でわかったことは、若者全員が長尺動画に抵抗があるわけではなく、ロングはロング、ショートはショートといった棲み分けの認識がしっかりあるという点です。
映画やドラマは自ら楽しみを“見にいく”コンテンツである一方、ショート動画は気軽に楽しみを“探しにいく”ような存在であり、それぞれ役割が大きく異なっていることが分かりました。
そのため、一部で見られる「若者の長編動画離れ」といった見方はやや一面的であり、同じ“動画視聴”として一括りにすること自体に無理があるのかもしれません。
今回の調査は、そんな視聴スタイルの多様化がはっきりと見える結果と言えそうです。
(調査・文/ワカモノリサーチ)
調査期間 2026.4.24〜2026.5.1
調査機関 株式会社ワカモノリサーチ
調査対象 全国の現役高校生(男女)
有効回答数 310名
調査方法 インターネットリサーチ


