「お金の授業、学校で習ったはずなんだけど……内容はあんまり覚えてないかも」。
そう感じる人もいるのではないでしょうか。
税金、年金、保険、投資、クレジットカード、サブスク……。どれも大人になった瞬間から急に必要になる知識なのに、「どういう仕組み?」と聞かれると、意外と説明できないものばかりです。
そんな中、「学校でもっと充実させてほしい授業」を保護者に聞いたところ、生成AIなどの新しい技術を大きく上回って選ばれたのが「お金」でした。
保護者の約7割が「お金の授業」を希望 生成AIの約2.7倍

塾選びサービス『塾選』を運営する株式会社DeltaXが、小・中・高校生の保護者150名に「学校で扱ってほしい・充実させてほしい授業」についてアンケートを行いました。
その結果、最も多く選ばれたテーマは「お金」で67%。およそ3人に2人の保護者が回答し、生成AIの約2.7倍も多く選ばれました。
AIがこれだけ話題になっている時代に、それ以上に「お金を教えてほしい」と考える保護者が多いのは、少し意外かもしれません。
上位にはこのほか、「ネット・SNS」「社会のマナー・モラル」「人間関係」なども挙がりました。
共通しているのは、テストで高得点を取るためというより、「知らないと社会に出てから困るもの」であること。
学校に求められているのは、新しい知識をどんどん増やすことだけではなく、「生活の中で失敗しないための知識」なのかもしれません。

学年別に「最もやってほしい・充実させてほしい授業」を1つ選んでもらうと、小学生の保護者では「ネット・SNS」が26%で1位。「お金」が24%、「社会のマナー・モラル」が20%と続きました。
ところが、中学生になると1位は「お金」で24%。
さらに高校生では「お金」が36%まで上昇し、他のテーマ以上に優先される結果となっています。
小学生のうちは、まずネットやSNSを安全に使ってほしい。
でも、中学生、高校生になると、アルバイトを始めたり、スマホ決済を使ったり、自分でネット通販をしたりと、「自分のお金を自分で動かす」機会が一気に増えていきます。
高校卒業後には、クレジットカードや一人暮らし、給与、税金、保険なども一気に自分ごとになってきます。
高校生の保護者ほど「そろそろ本当に教えておいてほしい」と感じるのも、こうした“社会に出るまでの残り時間”が関係しているのかもしれません。
では、なぜ保護者はここまで「お金の授業」を求めているのでしょうか。
自由回答を見ると、大きく4つの理由が見えてきました。
1つ目は、「自分が大人になってから、知らなくて苦労したから」。
社会人になって初めて給与明細を見ても、なぜこんなに引かれているのか分からない。保険や家計管理についても、必要になってから自分で調べるしかなかった。
そんな経験をした保護者からは、「若いうちからキャッシュレス決済やお金の管理、金融リテラシーを身につけておくことが必須だと実感している」といった声が寄せられています。
「自分と同じ苦労を子どもにはさせたくない」という思いがあるようです。
2つ目は、「契約や金融トラブルで損をしないため」。
ネット通販、スマホ、サブスク、オンラインゲームの課金など、高校生でも“契約”に触れる機会は少なくありません。
「契約の意味や詐欺への対処方法を知っていれば、自分を守る力になる」「リボ払いは広告では良さそうに見えるけれど、実は怖い仕組みであることを知っておいたほうがいい」といった、かなり具体的な声も挙がっています。
便利なサービスほど、仕組みを知らないまま「なんとなく」で使うことの怖さもあるのかもしれません。
3つ目は、「貯金だけでなく投資や資産形成についても知ってほしいから」。
NISAや投資といった言葉をSNSで目にする機会は増えましたが、「結局、何から始めればいいの?」という人も多いはずです。
保護者からは、「これからの時代は投資やインフレ対策も重要」「お金に働いてもらう金融リテラシーを早いうちから教えたほうがいい」といった声も寄せられています。
SNSの“○万円儲かった”という投稿から投資を知る前に、学校でリスクも含めた基本を学んでほしい、という感覚もありそうです。
そして4つ目は、「そもそも保護者自身が教えるのが難しいから」。
「クーリングオフも親がよく分かっていない」「株やFXについて子どもに聞かれても、自分が経験していないので教えてあげられない」といった声もありました。
お金は大切。
でも、親だからといって、お金について何でも説明できるわけではありません。
だからこそ、家庭だけに任せるのではなく、学校でも共通して学べる機会が必要だと考えられているようです。
「もう授業でやっている」のに、約8割が「足りない」と感じる不思議

ここで、ちょっと不思議な結果も出ています。
お金の授業を最も充実させてほしいと答えた保護者に、「実際に子どもが現在の学校でどの程度学んでいると思うか」を聞いたところ、「ほとんど学んでいない」が33%、「まったく学んでいない」が26%、「学んでいるが、内容や時間が足りない」が19%でした。
合わせると、約8割が「十分ではない」と感じていることになります。
ところが、金融教育そのものは、すでに学校教育の中に入っています。
小学校では、おこづかいや買い物などを通じたお金の使い方。
中学校では、金銭管理や契約。
高校では、家計管理、社会保障、金融の仕組みなど。
家庭科や社会科、公民などの授業の中で、すでに扱われています。
「え、そんなの習ったっけ?」と思った人もいるかもしれません。
実は、ここに今回の調査の面白いところがありそうです。
“授業として存在していること”と、“使える知識として残っていること”は、同じではないのかもしれません。
テスト前に用語を覚えて、テストが終わったら忘れる。
「クレジットカード」「社会保障」「契約」という言葉は聞いたことがあっても、実際に自分が契約するときに「これって大丈夫?」と判断できるかは別問題です。
たとえば、「月々5,000円なら払えそう」と思った商品が、分割手数料まで含めると最終的にいくらになるのか。
初任給が20万円だったら、家賃や食費、スマホ代にいくら使えて、毎月どれくらい残せるのか。
SNSで「絶対儲かる」と言われた投資話を見つけたとき、どこを疑えばいいのか。
こうした“リアルな場面”まで授業で体験できると、「習った」から「使える」に変わっていきそうです。
実際、保護者が求めている授業の形にも、その思いが表れています。
「お金」を最も充実させてほしいと答えた保護者に聞いたところ、「一定の学年になったら必修の授業にする」が57%で最多。「必修の授業にする」も21%となり、合わせて約8割が、全員が学べる形を希望していました。
さらに、学校の先生だけではなく、税理士やファイナンシャルプランナー、金融機関など、実際にお金の現場を知る専門家から教わりたいという声も出ています。
教科書で「税金とは何か」を覚えるだけではなく、「初めて給与明細をもらったら、どこを見る?」「一人暮らしには毎月いくら必要?」「怪しい投資話をどう見抜く?」まで考える。
そんな授業だったら、今よりちょっと真剣に聞きたくなる高校生も多いのではないでしょうか。
「お金の授業、習った気はするけど内容はぼんやり……」。
もしそんな感覚があるとしたら、それは単に忘れてしまっただけではなく、「知識」と「自分の生活」がまだつながっていないからなのかもしれません。
高校を卒業した瞬間、お金についての問題には“テスト範囲”がなくなります。
税金も、契約も、クレジットカードも、投資も、正解を先生が丸つけしてくれるわけではありません。
だからこそ、学校でのお金の授業も、「知っているか」ではなく「自分で選べるか」までを目指すものになっていくと、卒業後に本当に役立つ授業になるのではないでしょうか。
出典:株式会社DeltaX
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000116808.html


