思春期や反抗期を迎えると、親の言動にイライラしたり、喧嘩をしたり。
いつの時代も親子関係に悩む若者は少なくありません。
現代ではSNSの普及によって、さまざまな家庭の親子関係や経済状況を目にする機会が増え、自分の家庭と比較する機会も増えています。
そこから生まれた言葉のひとつが「親ガチャ」です。
令和を生きる若者たちは実際に自分の親をどう感じているのでしょうか。
今回はその本音を調査しました。
5人に1人が「親ガチャ失敗」その複雑な背景に迫る

今回ワカモノリサーチでは全国の14歳〜20歳の若者を対象に
『親ガチャ失敗したな』と感じたことはありますか?
というアンケート調査をしたところ、全体の18.0%が「ある」と回答したことがわかりました。
その理由を見てみると、
- 「もっとお金を持っているうちに生まれたいと思ったことがある」
- 「貧乏だから」
- 「お小遣い制度などなし毒親かなと思う瞬間がよくあったから」
といった回答が集まり、自分自身では変えることが難しい家庭の経済状況を「親ガチャ失敗」と捉える意見が多く見受けられました。
着ている服や持ち物、習い事や学校生活で他人を意識することも多く、周りと比較して「もっと違う家庭だったら」と感じてしまった若者もいるようです。
子どもに過度な干渉や支配をしている親に対して用いる「毒親」という言葉まで飛び出しており、この問題の根の深さも感じました。
続いて別の意見では、
- 「気持ちに寄り添ってくれない」
- 「放任主義で、寂しい時があったから」
- 「なかなか意見を肯定してくれないから」
といった声が寄せられました。
経済的な理由の他に目立ったのが、親との関係性による精神的な理由です。
自分と向き合ってくれなかったり、気持ちに寄り添ってもらえなかったりと、心の距離を感じながら過ごしてきた家庭環境も透けて見えてきました。
必要なものが与えられていたとしても、子どもの心まで満たされるとは限らず、その先にある「寂しさ」は、物やお金だけでは埋めることのできないものなのかもしれません。
さらに、教育や家庭内での接し方に目を向けると、
- 「むりやり頭よくさせられたから」
- 「勉強に厳しすぎることがあるから」
- 「自分の成績はいいのに子供の成績が悪い、自分が問題出して答えられなかったからって殴ってくるから」
といった意見も。
子育ての中で大きな問題になりがちな「教育方針」に耐えきれなかったと感じる声も集まりました。
勉強を重視する家庭環境や、親自身の経験、将来への期待など、子どもに理想の進路や学力を求めすぎることが、大きなストレスにつながる場合もあります。
行き過ぎた教育は、子どもに「自分のことを思ってくれている」と感じさせるどころか、むしろその逆の感情を生んでしまうこともあり、そこには想像以上に深い闇がありそうです。
一方、「ない」と回答した若者は全体の82.0%。
回答を見ていくと、
- 「大学も行かせてもらってしてもらってることが多く感謝しているため」
- 「自分に野球をやらせてくれてるから」
- 「今の寮生活を支えてもらってるから」
といった、自分の目標に対して、親がしっかりと支えてくれていることへの感謝の声が集まりました。
好きなことや挑戦したいことを応援してもらえる親の存在は、子どもにとっても何より心強いもの。
その支えを「親のおかげ」と感謝できる若者にとっては、「親ガチャ失敗」とは程遠いようです。
また、次のような意見も多く寄せられました。
- 「親ガチャなんて言葉がまず外道」
- 「親をガチャというもので形容するのは良くないと思う」
- 「親ガチャという言葉がまずまずムカつくし愛情さえあれば良いから」
「親ガチャ」という言葉は、2021年に「新語・流行語大賞」で選出されるなど、若者にとっても聞き馴染みのある言葉ではあります。
ただ、親を当たり・ハズレで判断することを“ナンセンス”と捉える声も多く、実際に自分の親に向けて使うとなると話はまったく別。
抵抗を感じる人も少なくないようです。
最後に親ガチャとは無縁の声として、
- 「人間の時点で当たり」
- 「産んでもらってる時点で神」
- 「親あっての自分だから」
といった理由も印象に残りました。
まるで結婚式で両親に贈る手紙のような言葉が並び、産んでくれたこと、育ててくれたことへの感謝からは、「親がいてこその自分」という思いが伝わってきます。
8割以上の若者が「親ガチャ失敗」と感じていない理由が、これらの言葉に詰まっており、心温まる結果となりました。
2割の若者が親と絶縁願望…家庭環境に苦しむ実情と本音

続いて、全国の14歳〜20歳の若者を対象に
親と縁を切りたいと思ったことはありますか?
というアンケート調査をしたところ、「ある」と回答した若者が全体の19.7%となりました。
その理由を詳しく見ていくと、
- 「父親がDV気質」
- 「殴るタイプの親だから」
- 「話が通じないし、かつて捨てられそうになったから」
といった、深刻な回答が集まりました。
親から子どもへの暴力は大きなニュースとしても報道されています。
「しつけ」や「教育」という親側の言い訳では到底片付けられない問題であり、子ども自身の力だけでは抜け出すことが難しい深刻な家庭環境です。
これらの経験をした若者は、早く成人して縁を切りたいと感じてしまうのでしょう。
また、他の理由については、
- 「メンヘラだから」
- 「ヒステリーを起こされると手が付けられないから」
- 「支離滅裂なことをいっていたから」
といった、親の感情の波に振り回されたことを理由に挙げる声も多く見受けられました。
毎日のように顔を合わせる家族だからこそ、支え合える関係でいられないことは大きな負担になります。
感情的になった親が手に負えない状態を繰り返せば、「縁を切りたい」と思うほど追い詰められてしまうこともあるようです。
さらに、他の原因を見ていくと、
- 「制限が厳しすぎて、思うように生きれないから」
- 「ことあるごとにバイトをやめさせようとしたり、遊びやスマホを禁止されたから」
- 「親族含め家族がすごく名誉や周りを気にする人たちなので制限が多く、自分に合わないため」
といった回答が得られました。
経済的に恵まれている家庭であっても、親子関係まで満たされているとは限りません。
一歩間違えればモラハラに相当するような制限や行動で苦しむ若者もいるようで、裕福な家庭だからこそ生じる軋轢も、「縁を切りたい」と思う要因になるようです。
続いて、親と縁を切りたいと「思ったことはない」と回答した若者は全体の80.3%でした。
その理由を見ていくと、
- 「その時嫌いでも別な時は好きだからわざわざ縁を切ろうとは思わない」
- 「イラッとすることとかあっても結局そばにいてくれるのは家族だから」
- 「喧嘩してやだなって思うことはあるけど、親から愛されているのを感じるから」
といった回答が寄せられました。
「縁を切る」という言葉には、よっぽどの理由がない限りなかなか踏み切れない重さがあります。
親子なら、些細なことで喧嘩したり、口をきかない期間があるのも日常と言えるでしょう。
実際に全体の回答を見ても、
- 「ムカつくことはある」
- 「嫌になることもある」
としながら、最終的には縁を切るほどではないと考えている若者の声が多く見受けられました。
また、その他の理由を見ていくと、
- 「経済的に依存中だから」
- 「うざいと思ったことはあるけど縁を切られるとお金の面で大変」
- 「縁を切って困るのは自分だから」
といった声が集まりました。
イラッとすることがあっても、なんだかんだ続いていくものが親子関係というもの。
そんな距離感が伝わってくる回答も見られ「ムカつくけどお金は必要」という、あまりにも正直すぎる本音も並びました。
さらに、正直な意見を見ていくと、
- 「なんだかんだおらんと無理な気がする」
- 「親も自分も寂しくなっちゃうから」
- 「いないと死にます」
といった、本音の声も見受けられました。
親は親で、頼れるうちは甘えてほしいと思うもの。
子どもにとっても、遠慮せず本音で甘えられる相手がいることは心強いものです。
反抗期や思春期の時期こそ親子で向き合い、それぞれの家庭に合った関係性を築いていくことが大切なのかもしれません。
そして、一緒に暮らしていることが当たり前ではなくなった時、初めてお互いの存在の大きさに気づくこともありそうです。
4人に1人以上が親とガチ喧嘩経験あり?その真意は…

最後に、全国の14歳〜20歳の若者を対象に
お父さん or お母さんとガチの喧嘩をしたことがありますか?
というアンケート調査をしたところ、「ある」と回答した人は全体の27.5%でした。
その理由を見てみると、
- 「朝の準備が遅い」
- 「お風呂に全然入らなくて早く入れって言われたけど自分のペースでお風呂に入りたいからそれで喧嘩した」
- 「もう忘れちゃったけど、昔めっちゃ大喧嘩した。多分、ピアノの練習とかしょーもないこと」
といった、朝の準備やお風呂、ピアノの練習など、拍子抜けするほど日常の些細な出来事がきっかけになったという声も集まりました。
また、他の意見を見ていくと、
- 「僕が学校を無断で抜け出したため」
- 「夏休みの課題を最後まで溜め込んでいたら、母親にランドセルを投げられた」
- 「お母さんのご飯を捨てて食べたと嘘をついたので喧嘩しました」
といった、明らかに自分にも原因があったことを認めている声も集まりました。
もちろんランドセルを投げる行為は褒められたものではありませんが、マンガのワンシーンのような経験談も時間が経てば家族の笑い話になっていくのも親子喧嘩ならではともいえます。
また、「勝手に東京にひとりで行ったこと」といった強者も。
可愛い子には旅をさせろとは言いますが、勝手に旅をされては困ります。
親としてはさすがに黙っていられないエピソードも寄せられました。
また一方で、明らかに親が悪いという声もありました。
- 「勝手に物を売られた」
- 「部活関係で頑張ってるのに否定されてガチギレした」
- 「可哀想な子だねと言われてなら産まなければ良かったじゃんと言って喧嘩が大きくなった」
といった声もありました。
自分の大切なものを勝手に売る、子どもの存在そのものを傷つけるような言葉を投げかける、努力していることを頭ごなしに否定する。
これらは「親子だから」で済ませていい行動ではありません。
子ども側が怒るのも当然で、むしろ親の言動によって喧嘩が引き起こされているケースと言えます。
親子という近い関係だからこそ、子どもを一人の人間として尊重する姿勢が親にも求められます。
続いて「ガチの喧嘩をしたことがない」と回答した72.5%の若者の声を見ていくと、
- 「ママが優しいから」
- 「仲良いから」
- 「親は優しい」
といった意見や、
- 「怒られるようなことをしないから」
- 「変なことをしていないから」
- 「特に喧嘩もしてこなかったから」
といった声が集まりました。
仲が良いだけでなく、「喧嘩をする原因自体がない」といった若者が多かったことから、家族関係が良好であれば、自然と大きな衝突に発展することも少なくなります。
喧嘩をしないというより、そもそも怒られるような場面が少ないこと自体が、普段の親子関係の良さを表しているとも言えそうです。
最後に、
- 「怖いから」
- 「母が強すぎて本気のはないはず」
といった回答も見られました。
昔から「母は強し」という言葉がありますが、令和の時代になっても強いお母さんは健在のようです。
まるで『ドラえもん』のジャイアンのお母さんのように、子どもが本気で逆らう前から勝負が決まっている家庭もある様子。
「喧嘩をしない」というより、「喧嘩を挑まない」という親子関係もあるようです。
今回の調査でわかったことは、全体的に親への感謝を感じている若者が多かったことです。
しかしながら、「親ガチャに失敗した」と感じている若者たちの声は非常にシリアスで、経済状況や教育方針、親との心の距離など、家庭環境に対する深い不満を抱えているケースもあり、中には実際に刑事事件に発展してもおかしくないような経験を語る声もありました。
親子の家庭内問題は、第三者が介入しづらい部分もあります。
だからこそ、本人が発する小さなSOSを周囲が見逃さず、深刻な事態に発展する前に手を差し伸べられるような社会のあり方も、改めて考えていく必要があるのではないでしょうか。
(調査・文/ワカモノリサーチ)
調査期間 2026.6.15〜2026.6.26
調査機関 株式会社ワカモノリサーチ
調査対象 全国の14歳〜20歳の若者(男女)
有効回答数 600名
調査方法 インターネットリサーチ


